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「木と土と石の家」



大地に還る素材を使い、伝統技術を継承する



自然素材と伝統の技で後世につなぐ家を



可能な限り「木・土・石」といった自然界にある材料を使用し、施主の要望する理想的な空間を提案した。そして、建物としての役割を終えたとき、その建材が再び大地に還える循環の建築を目指している。


 日本の住宅は圧倒的に木造建築が多いが、その一方で職人による昔ながらの手仕事は減少傾向にある。日本の伝統的な建築技術は建物に取り入れてこそ継承されると、積極的に職人による伝統技法を採用している。


 今回紹介する住宅は一般的な在来軸組工法だが、左官の伝統技術を多用し、土や漆喰といった素材の魅力を最大限に引き出している。また、伝統的な技術の中に現代的な表現や性能を織り交ぜることで、今のニーズに応えながら伝統の新たな魅力に繋げたいという想いも込められている。多様な世代に自然素材や伝統技前に魅力を感じて欲しいと、新旧一体型の建築に取り組んでいる。


どこからみても裏面を感じさせない外観


「木と土と石の家」は、夫婦2人に保育園に通う子2人、犬3匹という家族構成。そのため、土地選定には子たちの外遊びや犬の散歩コースにも困らない場所が条件となった。その結果、動植物園や水前寺江津湖公園に近接した場所に建てられている。駐車場と道路に四方を囲まれた土地であったことから、外観を360度見せる設計が施してある。通常は「建物の裏側」となる面ができてしまうのだが、この土地ではどこからでも見えてしまうため、窓開口の場所や室外設備機器の配置等に考慮しながら、できるだけ裏面を感じさせない立面となるようにして課題をクリア。

 

 間取りは家事動線を最も重視し、キッチンと洗濯・脱衣室ヘストレスなく行き来できるようにすることや、洗濯作業や子どものお風呂の世話などがスムーズに行えるように、洗濯・脱衣室は広めのスペースを確保した。また、子の成長と共に親と子の距離感が変わったとしても、家族が顔を合わせる機会が増えるよう、どの部屋に行くにも必ずリビングを通る生活動線となっている。






壁を漆喰と石で造ったリビングダイニング



棚に照明を埋め込み、見せるキッチン収納としている。その他の食器類は隠れた場所に収納を用意





玄関飾り棚にも漆喰を用いてうねりをつけた仕上げ



寝室の腰壁は栗板を使用し、腰壁上部は漆喰、天井は漆喰と土で仕上げている



テレビの背面地を波打つような土壁仕上げとし、陰影をつけている


トイレの壁面は、清掃性を考慮してタイル仕上げに


土壁は吹付け仕上げ、石は外壁から屋根まで同じ素材を使用



左官による造作風呂。床と願壁は鉄平石、腰壁と天井は漆喰仕上げ



外壁の石は錆が入り交じっているため、経年によって錆が進行して風合いが変化する



外壁には木、土、石を用いて、室内の境と天井のほとんどは、左官による漆喰、土を用いた仕上げとしています。基礎断熱仕様による床下暖房と小屋裏空調を採用しており、冬は床下から暖かい空気を、夏は小屋裏から冷たい空気を家内へ送り込むことで快適な室内環境を整えています。


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堀川 建築・造形 計画

熊本県熊本市中央区水前寺公園28-23LeParc 2F

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